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痴呆の介護の仕方(2007年)

 

痴呆症介護ガイドブック」

タクティールセラピーの紹介
  

    
第 3 回

連載認知症高齢者とのタクティールセラピー その2.3:            認知症介護 Vol.7 No.3
         

8)上向きにした手のひらの上を回転しながらマッサージ

 
相手の手のひらを上に向け,マッサージする人の親指で小さく回転しながらマッサージをします(図10)。手首から指の付け根に向かって,手のひら全体を満遍なくマッサージしてください。

親指以外の指は手の甲を下から支えます。この時,相手の手が動きやすくなるので,しっかりと支えてマッサージをすることがこつです。特に指の付け根の部分にはふくらみがありますから,その部分は時間を長くかけてマッサージをしてください。
 

9)手のひらを上向きにして,腕と手のひら全体のマッサージ
 

 相手のひじの付け根の,約5cm下から手首に向かい,さらに手のひらから指先全体まで,マッサージする人は自分の手のひら全体を使って撫でるようにマッサージしてください(図11)。この時,少し力を加えると,相手はくすぐったく感じません。両手にオイルを十分につけることを忘れないようにしてください。最低3回マッサージしてください。
 

10)手のひらを上向きにして,手首のマッサージ
 

 マッサージする人は,自分の親指を相手の手首に当てて,ほかの指は下から支えるようにします。マッサージする人の親指を相手の手首の骨に当てるようにしながら,小さな丸を描くようにクルクルと回しながら左右に移動します(図12)。最低3回はマッサージをしてください。

親指で回転しながらマッサージ図10  手のひらの上 図11 腕から指先へのマッサージ 図12 手のひら側の手首のマッサージ

 

11)手のひらを下向きにして,手首のマッサージ

 
10)の要領で,手首を左右に移動しながら,最低3回はマッサージしてください(図13)


12)最後に
 

 両手で上下から相手の手を包み込むようにして,しばらくそのまま手を握ってください(図14)

 

図13  手の甲側の手首のマッサージ

          図14  両手で包み込む


13)休憩

 
 そのまま相手の両手を抱え込むようにして,数分ほど休憩しながら相手に感じたことを質問してください。例えば「力が強すぎないか」「もっと強めの方がよいのか」「マッサージの速度は今のままでよいのか」などです。また,痛く感じた部分がなかったかどうか,また特に気持ちよかったのはどの部分であったかも質問してください。
 

 相手のもう一方の手を,1)〜12)と同じ要領でマッサージします。
 

小さな手の筋はすべて手のひら側にあります。この部分には多数の小さな筋(筋肉,約20個)がありますから,そこを満遍なくマッサージをするようにしてください。手の筋の作用は,前腕の筋と協力して手の指の微妙な運動を営みます。つまり,おのおのの指の屈曲,伸展,外転,内転と,親指と小指の対抗運動などです。

 

おわりに
 

 ある施設で私は,両腕を抱え込むようにして、他人とのコミュニケーションを拒む認知症高齢者の女性に,この手のマッサージを根気よく毎日数回続けて実施しました。すると組んでいた両腕を開き,最後には手のひらのマッサージを許すようになりました。マッサージをしてくれる人は彼女にとって危険人物ではなく,自分を理解し,自分のためにマッサージしてくれることがわかるようになったからです。そして,いつも下ばかり見つめていた目は,その時から私の目をまっすぐに見るようになり,笑顔を見せるようになりました。そして,それまで夜中にベッドで叫んでいた声も聞かれなくなり,熟睡するようになりました。

 

 多くの高齢者や障害者たちの生きがいを与えるタクティールセラピーを,皆さんで活用してください。


引用・参考文献

1)TAKTIL UTBILDNING:TAKTILI Grundkurs-en lugn&omsorgsfullberoring, P.30 〜33, 2001.

2)Duus, Peter著,半田肇監訳,花北順哉訳:神経局在診断―その解剖,生理,臨床,第3版,P.328,文光堂,1988.

3)前掲2),P.332.


次回は、足のマッサージの仕方を紹介いたします。

    

ストックの一言:

 

 認知症高齢者は、匂いを感じたり、色彩の記憶などは末期まで残っています。介護ではそれらを有効に活用してください。

   
一人でも多くの介護者が、手のマッサージや握り方の方法を学び、老人達のために活用される日が来る事を期待しております。

          (2007年1月17日 記載、日綜研のサイト)  
            
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