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痴呆の介護の仕方(2007年)

 

痴呆症介護ガイドブック」

タクティールセラピーの紹介
  

    
第 3 回

連載認知症高齢者とのタクティールセラピー その2. 1:            認知症介護 Vol.7 No.3
         

はじめに
 

 タクティールセラピーでは,身体各部をマッサージしますが,特に手と足,および背中へのマッサージが基本となります。前回は,背中に行うマッサージの方法と注意事項などを説明しました。今回は,衣服を脱ぐ必要はなく,いすに座ったままでできる手のマッサージの仕方を紹介したいと思います。

 人は,不安な時に手を握ってもらうと安心感を感じます。痛みを感じる時にも手で優しくタッチングしてもらう(触れる)と,痛みが緩和します。

 そして,手から感じる温かみは,興奮している人や孤独を感じている人の心に,落ち着きを取り戻します。つまり,手を通して,マッサージする側と受ける側の両者に信頼感が生まれ,相互のコミュニケションに役立つのです。

 このように,手は素晴らしい「介護の道具」であり,精神的な安心感を与え,さまざまな症状や精神状態を緩和する効果も得られます。ですから,認知症高齢者のみでなく,精神的に不安定になった方,中度の知的障害者や重度の身体および精神障害者,もちろん健常な高齢者にも緩和ケアの一つとして,ぜひともタクティールセラピーを試してみてください。
 

手の機能
 

 手は,物を握る,つかむ,叩く,撫でる,擦るなど,動作機能だけでなく,熱い,冷たいなどの温度感覚,濡れている,乾燥しているなど湿度を感じる感覚など,いろいろな機能を持ち合わせています。

 人の皮膚は,約0.1mmととても薄く,ちょうどラップで包まれているようなものです。親指は2本の骨,ほかの指にはそれぞれ3本ずつ骨が存在し,合計27本の骨を合わせて手は構成されています(図1)。

 それぞれの指の先端には爪があり,それを取り巻く部分の皮膚(触球)は感覚が鋭敏なので,細かい作業などがこなせます。爪と指の付け根の間にある手の甲(手背)側の皮膚は,手のひら側と異なりつまむことができる程のゆとりがあり,屈曲に支障のないようになっています。
 

 また手のひら,および手のひら側の指の皮膚は,身体のほかの部位と異なり皮脂腺がなく,指紋や掌紋があります。指の節や,手のひらには深浅さまざまな溝(運動ひだ)が走っています。ここはメラニン色素が少ないため,人種を問わずほかの部位より白く見えます。

 よく観察すると,親指のみほかの指と向かい合うようになっています。これは,同じ向きに向いていると細かい作業ができないからです。だから逆を向いており,さらに全部の指を細かく制御する機能もあります。

図1   手の最も敏感に感じる場所

 
 
人間の脳の中では手に対応する面積はとても大きくなっています。図2下は「ペンフィールドのマップ」と呼ばれるものであり,カナダの脳外科医ペンフィールドが発表したもので,感覚領野(体からの触感情報を受ける部分)と,運動領野(体を動かすための指令を出す部分)の2ヵ所の神経支配領域について右側を断面図(図2上,ブロードマンの領域区分)で示しています。

Duus, Peter著,半田肇監訳,花北順哉訳:神経局在診断―その解剖,生理,臨床,第3版,P.328,文光堂,1988.より引用,改変

図2 ブロードマンの領域区分
       運動領野の断面図               感覚領野の断面図

                   

ペンフィールドのマップ

 

 「手」は,脳の中では実際のサイズ以上に大きなものとして認識されていることが明らかにされています。このように手は鋭敏な感覚器であり,人間が外界を操作するための最大の手段として機能します。また手は,手話や握手など,コミュニケーションの点でも重要です。
 

マッサージの流れと事前準備は前回(本誌Vol.7,No.2,P.102)を参照してください。
   

ストックの一言:

 

認知症高齢者は話をしなくても、誰かが側に居てくれるだけ安心するものです。

   
一人でも多くの介護者が、手のマッサージや握り方の方法を学び、老人達のために活用される日が来る事を期待しております。

 

                    (2007年1月17日 記載、日綜研のサイト)  
                 

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