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痴呆の介護の仕方(2007年)

  痴呆症介護ガイドブック」

タクティールセラピーの紹介
  

    
第2回

連載認知症高齢者との「タクティールマッサージとは」                     認知症介護 Vol.7 No.2
       
タクティールセラピー   その1. 4    マッサージの注意点と基本的な方法
     

オイルを使用するマッサージ

   

 では,要領を得たところで裸になってもらった上半身に、オイルを使用してマッサージをしてみましょう。
 

1)オイルを使用するマッサージの概要
 

  このマッサージではオイルを使用するので,皮膚に直接タッチングすることにより,マッサージを受ける人と実施する人との交流が直接的になります。このため,互いに信頼感を持っていることが重要です。

皮膚に直接マッサージをすることにより,皮膚に近いところにある触覚神経を刺激して,脳の中で「快さ」を促すoxytocin(オキシトシン)と呼ばれるホルモンを分泌させ,血液の中に送り込む作用があります。このオキシトシンは,ストレスを起こす成分のコルチソールを抑制する働きがあり,安心感や穏やかな気分を与える効果があると言われています。

 

2)準備するもの

  • 基本準備セット

    P.103 〜104を参照。2枚のバスタオルのうち1枚は,いすの背もたれに使用します。もう1枚は,マッサージを受ける人の腰に巻きつけるようにしてください。この時,タオルが落ちない ようにズボンのベルトの部分に差し込みます。

  • オイルの種類
     

    ここで使用するオイルの種類は,ビタミンEの付加と湿気保護のために,ヨーヨーバ・オイル(yoyoba oil)注1),ひまわり油およびシーアスモオイル(shea tree oil)注2)を混合させたものが好ましいです。

     これらのオイルが準備できない場合は,アロマオイルで代用することもできます。

    
3)マッサージの仕方

  • 先述した衣服を着たままのマッサージ方法と同様です。

4)注意事項

  皮膚に直接触れてマッサージをする時は,下記に気をつけて下さい。

  1. マッサージをする人はマッサージを開始する前に,必ず両手を石けんで洗ってくだ

    さい。
     

  2. 両袖は,オイルがつかないように,ひじよりも上までまくり上げておくことを忘れないようにしてください。半袖のシャツなどが最適です。
     

  3. 上半身の衣服を脱いでもらう時は,相手の身体をバスタオルで隠すように広げて配慮してください。特に,女性がブラジャーを外す時には十分に注意してください。
     

  4. マッサージの準備ができ,オイルを手に取る際は,垂れない程度に十分な量を手のひらに塗ってください。オイルは,手のひらと指先まで満遍なく塗ってください。

    手の甲につける必要はありません。
     

  5. マッサージをしている途中で,身体とマッサージの熱によりオイルが蒸発しやすくなります。その時は,相手に両手を離すことを伝えてから,両手に十分なオイルを塗って,マッサージを再開してください(再開の時も相手にその旨を伝えてください)。
     

  6. オイルが手についているので,どうしても手が滑りやすくなります。このため,滑らないように手に力を入れがちです。いつも平均的な力で撫でるようにマッサージをすることがポイントです。
     

  7. 手が身体の脇にくる時は,脇に指先が入らないように注意してください。その時は両指を上に反らすようにマッサージをすると,相手に嫌な感じを与えることを防げます。
     

  8. マッサージが終わった後,両手を両肩に添える時は,肩に手をかけるようにして止めてください。背中で止めないように注意してください。
     

  9. マッサージが終了した後は,身体と両肩にバスタオルを掛け,身体が冷えないよう

    にしてください。
     

  10. 身体についているオイルはそのままでも問題はありませんが,衣類などに付着するのを気にする場合は,ハンドタオルで軽く拭き取ってください。
     

  11. 本人の希望を聞いて,衣服を着てもらってください。

植物性オイルを使用する理由

 なぜ普通の化粧品で使用するオイルではなく,植物性オイルを使用するのでしょうか? 

 それは植物性オイルを使用すると,皮膚にある汗腺がふさがれることなく呼吸できるからです。さらに肌に優しく,オイルの使用量が多くても皮膚に影響を与えないという特徴があります。また,使

用している間はすぐに乾燥することがなく,皮膚に快い潤いを保ちながらも,ねばねばしません。

 一般の化粧品に使用されているオイルはミネラルオイルで,長時間使用していると蒸発してしまうため,マッサージには適しません。また,皮膚に塗るとオイルが皮膚から浮いてしまい,吸収されないという欠点があります。さらに,皮膚の脂肪分を破壊しやすく,何回も塗る必要が出てきます。植物性オイルにはこれらの問題がほとんどなく,身体全体での使用に最も適しているオイルと言えます。
 

 このマッサージでは,たくさんのオイルを手につけながら,ある一定の時間連続して使用するので,肌によい適切なオイルを使用することは,マッサージを受ける人のみならず,マッサージをする人の健康上からもとても重要なことです。

    

注1:原産地はメキシコで,3mほどの木に咲くヨーヨー花(日本のひまわりに似ている)の種子から作られたオイルです。

   このオイルは滑らかで,肌になじみやすいという特徴があります。

注2:アフリカのサバンナに生息する,約25mにもなる木に実るアボガドに似た実から採集したオイルです。

    

おわりに:
   

 上半身裸で行うタクティールセラピーは,ある程度場所が制限されますが,手と足のマッサージの場合は,場所の制限なくどこでも行えます。

 
 次回は,手のマッサージの仕方を紹介します。

 

ストックの一言:

 

いつも笑顔で、声を一言かけてください。

   
一人でも多くの介護者が、手のマッサージや握り方の方法を学び、老人達のために活用される日が来る事を期待しております。

     (2007年1月16日 記載、日綜研のサイト)  
                 

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