暴露されなければ、何をしても良いのか・・
高齢者施設は介護施設ではなく、高齢者保管場所なのか・・
経済不況は、高福祉のスウェーデンにも大きく影響してきました。地方の少人口で税収入の少ないコミューンは、経費節約に躍起になっていますが、時には限度を超えているのではないかと
思われる、対策を実行しているところもあります。
時にはそれが人道的にどうかなと思われるような、処置をしているコミューンもあります。今までに何回も記載してきましたが、税金対策で一番その対象となるのが学校と福祉です。
テレビのドキュメントで、次から次へと高齢者福祉の問題点が暴露されて報道されています。
スウェーデンの北部に位置する、人口わずか17
992人、65歳以上の高齢者が250人、その内80歳以上が139人を抱えるティムロー・コミュヘン( Timrå kommun
)では、企業の倒産により失業者が増加し、税収入が極端に減少しました。その影響で税金対策を余儀なくさせられたコミューンの政治家は、高齢者福祉の経費負担が大きくその対策に、人道的にどうかと思われるような処置をしました。65歳以上の高齢者全員の250人
に、高齢者施設または在宅介護を提供しているコミューンには、当然高齢者福祉に掛かる諸経費は大きな負担でもあります。
このコミューンのハーガリード( Hagalid )高齢者施設には、1ユニットに7人の高齢者が入居しており、介護勤務職員は一人
のみです。
さらに経費節約で今まで実行していた、音楽や運動療法などを廃止しました。入居者は、「私たちから、すべての楽しみにを剥奪している。人間扱いされていな」と嘆いています。日本の高齢者施設でも、このような職員配置の施設はありません。
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介護職員は
、休憩どころか自分の昼食さえ、落ち着いて食事ができないと訴えています。
認知症高齢者が入居しているこの施設では、手間のかかる入居者に投薬をしています。犬や猫でも鳴いて叫びうるさいからと、薬でおとなしくさせることはしません。
ドキュメントでテレビの取材者が、コミューンの責任ある政治家に質問したところ、
「残念ながら税金が大幅に減少している現状では、已む得ないことだ」と回答していました。入居している高齢者は、一日も早く死にたいと訴え、他の高齢者は
「高齢施設は介護施設ではなく、高齢者保管施設だ」と嘆いていたのが、とても印象的でした。 |
この施設では、以前は二人職員が勤務していましたが、経費節約でコミューン福祉課の指示で一人勤務となったものです。しかし、一人になり、介護時間も効率的にするために、福祉課の指導は、職員がついて高齢者のトイレ訪問は6分、食事に費やす時間は、なんと9分のみです。その食事も時間節約のために、すべて宅配の冷凍または冷蔵食品のみというものです。日本の施設にみられる、職員が
手料理をしてくれた食事を食べることが出来るのは、一部の施設のみです。ある施設では、コミューンが契約したセントラルキッチン・サービスの会社から、毎日約60kmの遠地からトラックで運ばれてきます。しかもその食事には味もなく、とても食欲がわいてくるとはいえない食事だと入居者も家族も抗議していますが、経費節約の前には、高齢者や家族の希望は無視されています。
この施設では、一人勤務で介護時間がない場合は、掃除および社会的交流(入居者と職員が座って話をする時間の意味)時間は、時間短縮
または無視して、それらをする必要はないと指示しています。これが経済不況で追われている、スウェーデンの一部のコミューンが実施している
、高齢者介護の効率化と経費節約対策です。
ドキュメントが報道され、この高齢者施設の内情が暴露されて、多くの批判と抗議を受けたコミューンは、翌日にはテラピーの再開始と、職員の増加(増加とは一人勤務から、二人にすること)を約束しました。
( 2009年5月16日 記載 )
この写真は、上記のドキュメントで紹介された施設とは関係ありません。ある高齢者施設でおこなわれた、家族の抗議会議の模様です。
コミューンの担当者は、いろいろな抗議に対して言い訳に一生懸命でした。

説明に汗だくの政治家

(
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