若松区地域ケア研究会質問事項の講演資料
2003.10.23
若松区医師会館にて
10月23日 若松地域ケア研究会質問事項 (
下記の質問によって、講演をした記録です
)
スウェーデンで痴呆高齢者が在宅生活を送っている場合、その生活の組み立てに特別な工夫があるのか。
スウェーデンに於いては、痴呆高齢者に対するケアプランは、各地区にあります、コミューンの社会福祉課の職員によって、すべての補助金、住宅改善、ケアプランなどが、判定員、コンタクマンおよび家族と共に計画を立てます。その判定基本となるものは、医者の診断書に基づいています。これらの業務は、すべて社会法に基づいて実施されます。
その構成は次のようになっています。
家族が援助を必要としした場合に、コミューンに書類でもって申請をします。
受けつけたコミューンは、本人の痴呆症に関わる医師の診断書の確定を行います。
医師の診断がされていない場合は、まず診断をすることが必要です。
各関係職員と家族および本人をまじえての会議がもたれ、ホームヘルプ、施設への入居必要性判断、特別車両による交通の必要性、ディケアーセンターの活用必要性、家族への援助必要性、安心アラームの必要性等の有無について話し合いがされます。
この判定員は、コミューンによって、各地域ごとに配置されている場合があります。
各種の援助が必要と認定された場合は、その種類と内容によって、要介護必要時間、援助器具など細部に渡って検討され書類に記載され、家族を含める関係者全員に配布されます。
その内容が不服の場合は、コミューンに対して、認定不服申し立て申請をすることが出来ます。その時には、コミューンの高齢者オンブズマンが関係し、適切な判定なのかどうかの診断をします。多くの場合、高齢者オンブズマンの判定は認められます。
援助の内容によって、経費が本人負担の場合があります。その時には、コミューンが規定している価格表に基づいて行われます。
経費は、国が毎年確定する上限制度というものがあり、今年2003年度は、一ヶ月Skr1544:−となっています。
これ以上は本人の年金等の収入に関係なく支払う必要はありません。
本人の年金所得が少なくて、支払い義務以下の収入である場合は、無料となります。
参考価格:(一例、2003年度)
一ヶ月に5回以上の援助を受ける場合は、上限価格のSkr 1,544:−/月
一ヶ月に5回までの援助を受ける場合は、Skr 515:−/月
安心アラーム、一ヶ月の使用料は、Skr 122:−(ただし、ホームヘルプの経費を支払っているものは、この安心アラーム使用料は無料)
ディケアーセンターにて、介護を受ける場合は、Skr 51:−/日(ランチ、昼食とコヒー代金は別支払いとなる)
支払いは、その月の利用が終わった翌月に支払う
居宅介護支援員(ケアマネジャー)が、その人に合ったケアプラン(日常生活のスケジュール)を作成し、在宅のサービスの提供(ボランティア、ホームヘルパー、ディケア等)を行っています。
スウェーデンでは、痴呆高齢者が在宅生活を送るべきか、施設入所すべきかの判断は誰が行うのか。日本では家族の希望で決められることが多いが。
基本的には、医師の診断が一番効力を持っています。家族の施設入居への申し出がない場合は、在宅介護となりますが、申請がなされた場合は、質問1で解答しましたように、判定員と家族および本人の三者で話し合うことになります。本人が希望する場合は、コンタクマンも参加することができます。あくまで、入居を必要とする本人の意思が第一に尊重されますが、家族および判定員が施設にて介護を必要と判定したが、本人が拒む場合は、医師の診断書が優先されます。ただし、何時に入居できるのかは、その住居地のコミューンの施設に席の空きがあるかないかで決まります。また本人の障害度および必要度において順番が確定されます。普通は、席の空く順番を待ちます。どうしても施設の入居が必要とされながら、そのコミューンに席がない場合は、他のコミューンに福祉課が問い合わせをして、空いているコミューンの施設に入居させることもできますが、この場合は、依頼したコミューンが、受け付けたコミューンにすべての経費を支払うことになります。
また、特別車両等による移動の費用も、依頼したコミューンが受け持ちます。
日本では軽度の痴呆は在宅で家族が介護し、重度になり家族介護が困難になってから施設入所やグループホームを模索する傾向がある。スウェーデンでは軽度の痴呆から重度の痴呆に移行していく過程でどのように対処しているか。
障害度数の判定と診断は医師がします。そのために、医師の診断書が施設に入居するかどうかの、判定資料となります。当然その時には、先に説明したように、家族からの申請がなされていることが条件です。本人に家族が いない場合は、本人が申請します。本人に申請すべき判断能力がないと認定されている者(医師の診断を必要とするものではない)には、本人のコンタクトマンが代理申請をすることになります。
日本で言われているグループホームと、スウェーデンで言うグループホームとは、根本的に違います。日本のグループホームは、普通の高齢者ボケや脳血管性痴呆症およびアルツハイマー型痴呆症の高齢者を同時に入居させています。また、本来施設に入る必要のない軽度な痴呆症の高齢者も施設によって入居しています。
スウェーデンの場合グループホームに入居している高齢者とは、アルツハイマー型痴呆高齢者のみで、しかも中度から重度の痴呆症の高齢者です。
日本の場合、暴言を吐くからうるさいからとか、暴力をふるって、他人に迷惑をかけるからとか、徘徊して困るからなどの理由で、グループホームに入居させない 事があると聞いていますが、まったくそのやり方には反対で、そうした問題があるからこそ、なおさらグループホームやシュークヘム(日本で言うナンシーホームに類似した施設)に入居が必要なのです。それを明確に指導しない日本の法律および関係役所の欠点と不備がみられます。
スウェーデンでは、痴呆高齢者がいる家族の痴呆に対する理解は、施設と連携がとれる程度に進んでいるか。
施設に入居している高齢者がいる家族に対しては、常にインホーメーションがなされています。
また、痴呆の疑いをもち始めた家族のために、 「痴呆をかかえる家族の会」があり、そこに相談をすることにより、痴呆に対する簡単な知識情報、または介護のための講習を受けることができます。また、同じ悩みを持つ他の家族と話し合いができる、ミーティングが定期的に催しされています。
地域のコミューンにある、福祉相談所で、相談員を推薦してくれます。さらに高齢者オンプズマンに相談することもできます。
スウェーデンにおける痴呆高齢者を対象とした社会資源にはどのようなものがあるのか。
各施設(サービスハウス、グループホーム、シュークヘ、特別高齢者住宅ム
etc
)、ホームヘルパー、ディケアセンター、ショートステイセンター、家族のためのディケアーセンターetc。ボランティアシステムは、 一部教会の活動を除いて基本的にはありません。
痴呆患者に対応する場合、集団に対する対応と個別に対する対応で違いはあるだろうか。
重度の痴呆症の場合は、集団でも個別でも対応策には差がありません。
ここで言う痴呆症とは、アルツハイマ型痴呆症を意味します。それに比較して、中度の障害の場合は、1グループは最高6−8人が限度です。最低4−5人です。
大きなグループの場合、叫ぶ人、暴力をふるう人、暴言を吐く人など集団になると、統一が取れなくなります。他の入居者に精神的に 動揺を与える確立が高くなり、無必要な混乱を招きます。
また、少ないと、孤独感を持ち徘徊やイラつきが多くなり、社会的交流が少なくて不安を与えます。
当然運営の問題で効率が悪く、経費面にも負担が多くなります。
脳血管性痴呆、アルツハイマー型痴呆、精神障害による痴呆など、タイプによる対応の違いを教えて欲しい。
まず、大切なのは、痴呆症の種類を正確に把握することです。
脳血管性痴呆
の場合、リハビリによって、日常の社会生活に復帰することも可能であり、半身麻痺で動かなかった手足が、リハビリによってある程度回復させることも可能です。これは、言語障害や、運動障害を持っている場合も、回復させることが出来る可能性は、とても大きいものです。さらに普通は、言語障害を起こしていても、相手が話す会話の言葉の理解力は、ほとんどの場合保存されています。返事をするのに適切な言葉の選択が困難なために、相手が求める返事が出来ないことが多いですが、これは必ずしも理解力の低下ではありません。
また、その障害の度合いおよび、脳神経の障害の場所によって、言葉の理解と選択に時間がかかる人もいますが、これは痴呆症による直接の影響とはかならずしも言えません。そのために、必ず定期的な検査をして、本人の残されている部分と、破壊された部分を明確に把握して、リハビリなどを根気よく、続けることが大切です。私の友人の場合は、当初家族はまったくあきらめていましたが、このリハビリにより、回復した部分が多くあり、最初全身麻痺に近く、寝たきり状態でしたが、今では杖を利用して一人でトイレに行けるようになりました。 この友人の場合、わたくしは2年間ものリハビリを運動療法士、作業療法士、医療療法士、言語療法士たちと共実施した経験によるものです。そして、アルツハイマー型痴呆と異なり、治療がある程度可能であること、社会的生活にそれほど障害がないこと、普通の高齢まで長生きすること が可能です。
次に、
アルツハイマー型痴呆症
の場合、現在の医学では、障害の進度をある程度抑えることができますが、まだ治療してよくなるまだにはなっていません。しかも確実なのは、初期段階から重度の段階になり、人生の終末期を迎えるのは、その障害の進度と、本人の肉体的な健康状態によりますが、普通10年から15年ほどで死亡します。
初期の段階は、皆さんもすでにご存知の通り、なかなか正確には発見することも難しく、やはり早期に疑いを持った時点で、医師の診断をしてもらうことです。初期の段階では、痴呆症の進度をある程度抑えることが可能ですが、完全なものではありません。しかし、本人の日常生活および社会生活には大きく影響を与えます。
初期段階で、家族がしなくてはならない事は、本人の記憶がまだ普通で健康な時に、本人の過去におきた人生について、出来る限り詳しく記録しておくことです。これが中度の状態から、重度に進んでいく時の、徘徊、叫び、暴力、精神不安定、理解できない行動など、原因を知ることの出来る貴重な資料となります。家族関係、戦争により兄弟や父母の死亡、けが、子供が先に亡くなっている等の場合は、その内容と原因および状況など詳しく記録しておくことが大切です。友人関係、職場、職種、会社の移動、 退職その時期などいろいろな情報を聞き出しておくことです。本人に記憶がない場合、本人の兄弟や家族からも聞いて記憶しておくことです。これらがすべて後日、本人を理解する大切な資料となります。相手に刺激を与えるような言葉は絶対に使わないことです。例えば「最近物忘れが多いね。」とか「メガネはここにあるでしょう。本当に最近だめなんだから」などの会話は、本人を精神的に追い込むことになり、本人の生活意欲をなくし、さらに落ち込むことにより肉体的活動もなくなり、進度を速める結果となります。
また、
アルツハイマー型痴呆症の特徴は、進度するに従い本人の精神年齢が下がっていきます。
つまり過去の時代にさかのぼっていくことになります。本人は青年時代から少年期にもどり、それから幼年期となり、そして幼児期となっていきます。そしてその幼児期に戻りますと、人生の終末期を迎えることになりますが、注意を要するのは、肉体的には、目の前にいる人は高齢そのままです。つまり言葉使いなども、子供を相手にするような話をしますと、本人は自分を馬鹿にしていると理解し、暴言や暴力をふるい、時には反対に何も相手をしなくなり無口となります。あくまで、本人の年齢に相応した高齢者に対する話し方をすることが大切です。少年期から幼年期にはいりますと、行動が理解できないことがありますが、先に説明した本人の過去の記録があれば、それらの原因を把握することは容易になります。
精神年齢が戻っている痴呆症高齢者と話をする時、相手の話をゆっくりと聞いてください。先に答えを催促したり、いそがせるような質問はしないでください。相手の目と同じ高さ、または下から上に眺めるように話をしてください。時には、相手の手を軽く握ることも必要です。また相手にふれる時は、ゆっくりと、特に肩に手をかけたり、身体にふれるときは、肩と腕のひじまでの間をふれるようにしてください。
それ以外の場所(背中など)にふれる時は、相手にその準備が出来てから触れてください。
痴呆症の人が声をかけたら、どんなに忙しくても、すこし立ち止まって聞いてあげてください。それから「忙しいからまた来るね」などと説明すれば、納得してくれます。何も聞かないで「後で来るよ」と立ち去って行くのは、相手に信用されない状況を作るのみです。
徘徊対策は施設内に設備をするこみとにより、外出そのものを避けることが出来ますし、職員の負担も少なくなります。アルツハイマー型痴呆症の高齢者と話しをする時に、二つの事を同時に言わないでください。ひとつのことを話 し、行動し、それが終わってから、次の指示をするようにしてください。例えば「お茶を飲んだら、ここにお菓子があるから食べてね」と言われても、本人は、その二つの関連性が判断できません。必ず、まずお茶を飲ませます。それからお菓子を出して食べさせるようにします。外出の時も「今日はお店に行って、それから買い物して、帰りにお茶を飲もね」と言っても本人は、お茶が先で、その後買い物なのかなど、順序だてて行動を計画し判断することが困難で、結局は何も理解できないことが多いです。食事についても同じことが言えます。
簡単な介護の一例:
高齢者の便秘や下痢について:
暴れたり
、いらついて怒りやすいなどの原因に便秘があります。
便秘で悩む人には、コヒーを飲ませると便がやわらかくなり、 通じやすくなります。
下痢で悩む人には、濃い紅茶に砂糖を入れないで、飲ませると硬くなります。あまり続けて飲ませないことに注意、便秘になります。
最後に
精神障害による痴呆症
の相手や介護をするのは、専門の知識を必要とします。必ず教育を受けている人と一緒に介護をしてください。例えば、痴呆症老人の暴力行為の中に、精神症状が原因である場合もあり、専門医に相談をすることが必要です。
痴呆患者に対して介護人の精神状態が影響するように感じるが、どうだろうか。
脳血管性痴呆症の人は、予想以上に相手の精神状態の影響を受けます。いうまでもなく、精神面では、まったく正常だからです。会話する言葉の選択を誤らないことが必要であり、特に本人が受けている教育、職業を事前に把握しておくことが必要です。
アルツハイマー型痴呆症の場合は、初期および中度の
時期は、職員または介護人の精神状態は、まともに影響を与えます。
重度の痴呆症の人には、この問題はほとんどありません。
痴呆患者に対して、よい影響を与える刺激について
視覚(色彩)刺激はどうだろうか。
普通のアルツハイマー型痴呆高齢者
には、原色に近い色彩は使用しないこと。赤色は使用しないこと。緑色ですこしやわらかい色は、大いに利用して良いです。直接照明は出来る限り少なくし、壁などに取り付けたりして間接照明を利用すること。直接照明は壁など色が 白く、光沢がある場合、反射するチラツキが直接目に入り、精神的に不安感を抱かせたり、落ち着きをなくす影響を与えることがあります。しかし、すべての痴呆症の人に必ずしも当てはまるとは限りません。特に車椅子の人が居る場合は、天井の直接照明はさけるべきです。
照明による効果と影響は大きいものであり、例えば露出照明はさけるべきです。ライトが直接目にはいらないよう考慮することは必要です。間接照明は、例えばいったん天井に向けて照明をなし、天井からの反射を利用して、廊下を明るくする方法などは推薦できます。
廊下などの壁の色は、手すりの位置より少し上の部分を境として、色の光度を変化させると良く、手すりより下の部分は、上の部分よりも濃い色か、または異なった色を使用すると良いです。その理由は、目からみるバランスの境を歩く人に指示する役割を持っているからです。歩く時に目の位置を定めやすいからです。手すりを白色にしてある施設がありましたが、境目が判断しにくく、バランスをなくすことがあり危険ですから、使用は避けてください。廊下には、暗い色は使用しないようにしてください。
また、廊下にいろいろな色彩を混合して使用することは避けてください。ある施設で柄模様のカーペットを張ったところ、痴呆症高齢者は廊下を飛んだりはねたりするような格好をして歩いたことがありました。質問したところ、どこに足を置いてよいのか判らない、危なくて歩くことができないと答えました。黒い色は、あまり幅があると、一部の痴呆症高齢者の目には、穴に見えます。廊下などには黒色を使用しないでください。
暖かい、中間色は心の落ち着きを与え、光沢のある白色よりも、中間色の乳白色を使用すると落ち着きを与えます。特に天井には光による反射を少なくするために、半光沢のペイントを使用すると良いです。
階段には、次の階との目印になるように、壁の色とは、異なる模様のある色(塗料)を使用、または壁紙を使用すると良いです。階段の一番下の段には、境目をわかりやすくするために、色彩テープ(茶色など)を 貼ると、踏み外しの事故が少なくてすみます。
手すりは、はっきりとわかりやすい色彩にすることです。特に壁紙に模様がある時は対照的な色を使用してください。
一色のみのカーテンは出来るだけ使用をさけてください。花など明るい、暖かい感じを与える模様のあるカーテンを使用するようにしてください。
太陽の光が透き通るような薄いカーテンと、反対に強い光線をさえぎるカーテンの二種類があればとてもよいことです。
本人の居る階を認識させるために、階ごとに壁や廊下の色を変えている施設がありますが、効果があります。また、廊下そのものに二色を採用することにより、効果を出している施設もあります。
さて、
障害度によって色彩を変えてみる効果はあるのか・・
中度の障害者には効果がある場合が多いです。淡い中間色を利用します。理由は鮮明な色は刺激が強いことです。先ほど説明しましたように、すべての痴呆症にあてはまるものではなく、その点誤解のないようにしてください。
重度の障害者には、反対に明るい鮮明な色を使用するほうが、色による選択能力が良いです。それは、脳細胞の色彩能力、識別判断の低下によるものと思われていますが、中間色の淡い色は効果がすくないことがわかっています。また、色による精神的な刺激を受ける感度は弱くなっている関係上、それほど問題はありません。
別の話になりますが、知的障害者には、原色に近い鮮明な色が良い効果を与えています。これは、本人が色の判断に迷うことなく、認識と確定しやすいからです。また、ピクトグラムを利用するとコミニケーションがとりやすく、とても効果があります。
施設および入居者の部屋の、色の選択は、すべて入居者のためですが、同時に職員にも良い影響を与えている事が、職員のアンケート調査でも証明されていますので、色彩の選択は慎重に考慮すべきことだと思います。
壁に絵をかざることなどは、単調な部屋に変化を与え、同時に家庭的雰囲気をかもしだすものであり、日本的に単調な部屋は、精神的にあまり良い影響を与えるとは思えません。家具やその他自分の昔の部屋を思い出させるような調度品が部屋にあると、施設に入れられている認識を少なくすることもあり、とてもよいです。部屋の色は、もし本人に好きな色があれば、塗り替えたり、壁紙を張り替えたり 、カーテンを替えるだけでも効果はありぜひ試してみてください。
音(音楽、リズム等)刺激はどうだろうか。
音楽は、入居者の好みをよく確認して使用してください。特にクラッシックを若いときに好んでいた人には、民謡や演歌は逆効果です。バックミュージックとして利用する施設がありますが、常に音がすると精神的安定感がなくなり、イラつきを与えることになります。音楽療法として利用する場合は別です。しかし、民謡などを唄う時に、テンポの狂った、音痴の職員は歌わないことです。逆効果でやる気をなくさせます。
接触刺激はどうだろうか。
接触する場所に注意してください。相手が触れても良いと、心の準備をするまでしないことです。特に頭などにはふれないでください。やさしくホホなどに触れるのとは意味が違います。指先などのマッサージは、相手との会話のコミュニケーションをとりたい時には、とても良い効果があります。マッサージをする時には、肩から順番に、腕、ひじ、手首、そして指先へと移動するようにしてください。肩のマッサージが終わり腕に移る時に、タオルなどを肩にかけてやると温かみが残り、気持ちが落ち着きます。ひじから先の腕や手首、指先のマッサージは、必ず本人の目の前からしてください。
相手に不安を与えない身体に触れてもいい場所とは、肩からひじまでの間です。
その他の身体の部分は、よく知り合った間柄でない限り、最初からふれることは避けてください。
動物などの刺激はどうだろうか。
動物を利用する時には、必ず本人が動物を好きなのか、特にアレルギーの問題はないのかを確認してから、利用してください。動物は必ずしも効果があるものではないことをよく理解しておいてください。必ず動物の病気などの検査をしてください。
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スウェーデンでは痴呆高齢者の財産管理はどのようにしているのか。
家族が居ない場合は、施設、あるいは一人で住んでいる高齢者には、かならずグードマンと呼ばれる担当者がおり、グードマンガ財産から、銀行などの日常の経済管理をしています。 時にグードマンの承認の元にコンタクトマンが代理することもありますが、当然すべての事ながら、買い物など金銭の移動は、すべて帳簿に記載して記録され、いつでもコミューンの法律家が来て 会計監査をしてもいつでも提示できるように、買い物の領収書などもすべて保管してあり、問題がないようにしてあります。施設の入居者の場合は、本人に家族がいても、コンタクトマンが管理をすることが多いです。
ちなみに、グードマンは簡易裁判所で承認された人がなります。
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スウェーデンの現場から見て今の日本の対応について伝えたい事を教えてほしい。
特に介護職員の教育に力をいれること
。
教科書で学ぶ介護と方法、そして現場の介護とは大きな差があり、その中間の、例えばアルツハイマー型痴呆症の人の言動、叫び、暴力などを見て、何の障害を持っているから、どのように対応したらよいのかなどの、判断がある程度できるように、教育をもっと進めて欲しいこと。介護教育に投資することは、事故を防ぐのみでなく、入居者にも、職員にもよい効果があり、さらに職員は痴呆症高齢者を正しく理解することによって、自信をもつことになり、やる気を起こさせます。
痴呆介護指導者の育成を積極的に実行することは、市内または区内で統一された介護指導をすることにより、施設による介護差をなくすことができます。指導者は職員に考えさせ、やる気を引き出し、まとめるのが仕事で、各施設での介護の悩み解決をはかることも、介護者の負担を軽くすることにつながります。つまり職員の滞在率を増加することになります。
仕事のプロになって欲しいこと。
施設を離れたら、もう入居者のことは考えないこと。玄関を出たら自分のプライベートの時間です。特にホームヘルパーは、自分の仕事の範囲を相手の家族に明確に、ケアマネジャーなどを通じて説明し、書類で明確にすること。それ以外はたとえ介護時間が早く過ぎても余分なことはしないこと 。それを続けると家族同様に、自分も疲れて仕事が続けられなくなることを、もっと認識すること。数をこなすためにヘルパーをしているのでなく、必要とする介護時間は、余裕を持って計算すること。これは幹部の理解が必要です。
高齢者は時々とても重いものです。リフトなどの機器を有効に使用できるように教育と、家族への理解をしてもらうように、インホメーションを福祉課幹部(ケアマネジャーetc)が積極的にすること。
障害者には、基本的には障害に対する同情を持たないこと。
気の毒だからで、介護の仕事をしないこと。
ホームヘルパーなど、仕事の時間を効率的にスムーズにできるように、行動、作業計画(ケアプラン)など検討して徹底すること。
時間外のことはしないこと。
規定以外のことはしないこと。介護の内容と割り当てられた仕事の時間を明細に書類にして、家族に提示できるようにして、家族とのトラブルを避けるようにすること。
これは、特にケアマネジャーおよび担当の福祉課幹部職員が、正しく理解していることが必要であり、それを十分に介護を受ける家族にインホームしていないと、その負担はホームヘルパーにかかってくることを理解していること。
幹部職員と現場職員との会話の時間をもつこと。
これは、単なる職場の情報交換のみでなく、職員の懇談時間と、職場にて勤務中にリラックス時間を持ち、職員が燃え尽き症にかからないよう、考慮すること。例えば リラックスできる白い部屋などを持ち、入居者のみでなく職員も利用できるようにすること。
施設内の日常の生活テンポは、職員側の事情による流れでなく、障害者や高齢者のそれぞれのテンポ、流れに合わせて生活のリズムを持って欲しいこと。
スウェーデンの施設と日本の施設を比較した場合、まず目につくのは、日本では障害者や高齢者の日常生活のリズム、テンポが、すべて職員側の流れによって決められており、施設に住む人たちの生活のリズムは、ほとんど無視されています。職員に気持ちの上での余裕がないから、入居者もおちつかず、イライラとしており、彼らの生活そのものが無視された状態になっています。職員の介護の仕事に時間的余裕がみられ ません。とにかく動いていれば、なんか仕事をしているよという感じがします。障害者および高齢者の日常生活に対して、行動計画を十分に再検討する必要があると思います。
施設全体、介護の現場、対策など適切に実施されているのか、評価を定期的にすること。
定期的に評価調査を実施すること。この評価は、ホームヘルパー自身による自己評価、ケアーマネジャーが家庭に調査票を提出して、家族のホームへルパーや介護の内容 、またはシステムそのものについての評価を提出してもらう。
この場合ホームヘルパーの個人攻撃の対象とならないように、匿名調査が好ましい。これは、介護の改善、本当に適切な介護をしているのか、必要でない仕事をしていないのか、本当に本人に必要なのはどんな介護なのかを常に管理する事が必要です。時間経過と共に家族および本人の希望と、必要性が異なってきます。
それを訂正する意味でも評価は定期的にすべきですあり、作業のマンネリ化を避けることになります。
施設または経営者が今後の計画や事業内容の変更、改革、介護システムの変更や改良など、常に職員にインホーメーションをすること。特に法律改定などの場合は、その法律に関係している職業を持つ職員に、講演会 や講習などにより必ず職員教育を持つこと。
グループホームを始め各施設の長は、介護の経験者、例えば看護婦等の経験があり、さらに痴呆症および管理職の教育を受けた者が施設長になるべきで、日本のように介護経験もなく、福祉や介護の教育もない人物が施設長になることは 、あまりこのましいとは思われません。職場と職員の仕事に対する理解が欠けることが多いです。スウェーデンの場合、ほとんどが施設長は看護婦教育を持つ経験者です。高齢者施設の管理は、普通の工事場や商店とは異なります。生きている人間相手です。
福祉機器の上手な使い方を学び、もっと日常の介護に活用すること。
介護者自身が介護による怪我(ベッドから車椅子への移動時による、腰や腕をいためたりする事など)をなくするように、現在市場にある、良い福祉機器を十分に使いこなせるように、職員教育と機器の設備が必要。
長い間ご清聴をありがとうございます。本日の私の講演が現場で現場で少しでも活用されるならば、とてもうれしいかぎりです。
澤野 正美