From Stockholm  トップページ  | 福祉紹介 | ニュース  | 観光・旅行  | ミニ情報  | リンク集 | 掲示板

社会ニュース 2014

 

ここに掲げる、「言わ猿」「聞か猿」「見猿」のカットを象徴として、今まで日本国内であまり報道されなかったり、書物に書かれなかった、高福祉大国とまで言われた、スウェーデン 社会福祉の現状を、各種の資料を基に記載していきます。一時は理想郷とまで言われたスウェーデンの社会福祉は、今は昔話となっています。これからの高齢者の将来は、必ずしも政治家たちが言う通りではなく、すでに福祉の介護や質の低下は、大きな社会問題となっています。

民営化は失敗だったか・・:  

スウェーデンの薬局の場合
:

スウェーデンの薬局アポテックの歴史は古く、1500年代の半ばには 、すでに薬を販売している場所がありました。しかし、その多くは効力のない薬もあり、1846年から1864年代に薬の統制がな く、その後少しづつ改善はされてきたものの、1920年代まで自由に販売されていました。いろいろな歴史的変化を受けながら継続してきた薬局は、1970年に専売公社として国営薬局が設立しました。国内のすべての薬剤は、このアポティクで販売され、地域診療所や病院の医師によって発行される処方箋によって、国民は薬剤の購入ができるようになりました。

一部の薬剤は処方箋がなくても購入できましたが、たとえば頭痛薬とか睡眠薬は制限があり、薬害防止と薬に頼りすぎないようにと年齢制限なども設けられました。

今の政府によって2009年7月1日に国営化を廃止、民営化で医薬品の販売を自由化しました。特に医者の処方箋を必要としない薬剤については、キオスクから食料品店まで幅広く販売店が増加しました。

そのために 、例えば継続的に飲用すると薬害があると心配されている、頭痛薬や睡眠薬も自由販売されるようになり、さらに年齢制限も守られず、その悪影響も出始めています。

政府が推進した民営化の目的は、価格競争により国民が医療薬を安く購入でき、さらに市民の近くに薬局販売店ができて便利になるというものでした。2009年に全国で924店舗の国営薬局がありましたが、民営化で国営薬局は廃止され、同年には民営化に新規参加した薬局数は356件増加しました。

全国に筍のように薬局店は増加、2013年5月には1280薬局専門店がありました。タバコの売店や食料品店などにある医薬品販売部門を含めると、薬取り扱い店舗数は、全国で5670店舗となりました。多くはチェーン店で会社組織としては29企業が経営をしています。しかし、過激な価格競争により昨年末までに約28%の店舗や会社が閉鎖または倒産しました。

民営化で一時は価格も安くなりましたが、安い薬剤の販売は継続されることはなく、しばらくして価格は高くなるばかりで、さらに利益を追求することにより、過疎地にあった 赤字経営薬局の閉店が続き、住民は薬剤の購入が困難となってきました。国営時代には法律で保障され、たとえ過疎地で経営が困難であっても、必ず薬局はなければならないという規定が廃止されました。そのため過疎地で経営不振の薬局は閉店し、住民は隣の町まで行かなければならず、小さな町では薬局がないために、50km以上も遠く離れた町に行かなればなりません。

例えば、スウェーデンの中央部に位置する、リーマ(Lima)は、ダーラナ地方に所属する小さな田舎です。マールング、セーレイのコミューンは、4312km の広い土地面積を持っていながら、人口は1970年に12,221人であったのが、2010年には10 356人、2013年9月で10 051人、約 2 200人の減少となっています。仕事がないために若者たちが都心へと移動し、毎年人口は減っていくばかりです。その中の小さな地域リーマは、2010年には人口わずか398人で、40歳以上が半数を占めています。

このリーマにある薬局も廃止され、食料品店が販売する薬といえば、処方箋の必要のない薬のみです。処方箋の薬を買うためには、往復 60km の道のりとなりました。2014年に全国の過疎地区にある、25薬局店が廃止されることになっています。

スウェーデンの北部ラップランドでは薬の買い物に、往復 130km と長い距離を自動車で行かなければなら ず、こうした地区も珍しくはありません。

都心でも民営化の悪影響は顕著になり、病院から受け取る処方箋を持って、近くの薬局に行っても、以前のようにすべての薬剤が手に入らなくなりました。薬局によって取り扱い薬品が異なり、多くの薬局は利益効率の良い薬品を 在庫し、優先的に販売しているためです。そのために、数種類の薬を買うためには、2−4店舗を訪問しなければなりません。

民営化により薬局相互の連携がなくなり、どこの薬局にどの薬剤があるか不明で、病人や高齢者など移動に不便な人は、何店舗も訪問しなくてはならないと苦情が絶えません。時には在庫がないために数週間待たされることもあります。

政府の公約とは異なり、これが高福祉の大国といわれている、スウェーデンの現実です。
 

   ( 2014年1月22日、記載 )

 

 
 

  

   このページ及びストックホルムのホームページの無断転載を禁止します。
   ただし、タクティールマッサージは自由に利用してください。

   掲載希望の方は管理者
(fukushi-sweden@hotmail.co.jp)
に連絡してください。)
 


INDEXに戻る       前のページ      次のページ