From Stockholm
HOME 福祉紹介 ニュース 観光・旅行

ミニ情報 リンク集 掲示板



社会ニュース(2010年度)

 

 

公共企業の民営化その後:

 

スウェーデンでは、数年前から政府が積極的に国営企業の民営化を進めてきました。政治的目的は販売価格の競争をさせることにより、より良いサービスと、価格を安く国民に提供できるとしたものです。しかし、現実にはまったくその効果はなく、政府担当者は、その場しのぎの言い訳をしていますが、公共企業の当時に比較して、 消費生活の価格は高くなるばかりです。

 過去の電気料金: 
 ( 毎年12月30日時点 )

 ◆ 2006年 29:34 öre

 ◆ 2007 43:06 öre

 ◆ 2008年 48:18 öre

 ◆ 2009年 50:13 öre

 ◆ 2010 83:48 öre

 TELGE ENERGI 資料参照

たとえば、電気料金はその時期の雨量と、気候の影響を受けます。いわゆる電気価格の相場市場(Nordpool)があります。今年の冬のように大雪にみまわれ寒波となり、家庭では寒さをしのぐために電気料金が高いとわかっていても、電気を利用しなくてはなりません。

 

そのため家庭における電気使用量が増加すると、この時とばかり民営である電気会社は価格を上げ、利益の向上に努めます。 儲けと得をするのは、電気会社と社長や幹部職員たちの、ボーナスを含める莫大な収入です。


例えば、電気の使用量が多いアルミ工場やバルプ生産工場などは、高い電気料金のため採算が合わず、一時的に工場の運営停止をしなくてはなりません。電気を多く使用する企業同士が安い電気を確保する対策として、企業が共同で所有する原子発電所の建設計画が検討されています。 電気会社の役員、社長、副社長など幹部職員は、毎年数百万クローネの莫大なボーナスを受け、政府や国民そしてマスコミなどの批判を受けていますが、そうした批判を無視しながら、国民の電気料金を跳ね上げていることが認められ、電気が国営企業の頃にはにはなかったことです。電気の民営化で一番得しているのは電気会社であり、一番負担が大きくなってきたのは大量の電気エネルギーを必要とする工場であり国民です。誰のための民営化なのか・・・。

 

民営化されて安くなるはずの薬局の販売価格は、民営化と同時に医者の処方箋を必要とする薬品以外は、20-25%もアップしました。もちろん民間企業は利益を求めているわけですから、国民は高い薬品を買わざるを得ません。

誰のための民営化なのか疑われます。それによって大きく影響するのは、経済的に余裕のない、シングルマザーの家庭、年金の少ない高齢者、低所得者の人たちです。失業者たちは、薬を買うこともできません。 頭痛薬や痛み止め、精神安定剤の一部が、食料品店で自由に購入できるようになり、それらの薬乱用により自殺者の増加は、薬局民営化の前と比較して50%にもなったと報告されています。

 

郵便局も経費節約で、今まで各地にあった多くの郵便受けのボックスを廃止、そのためにお年寄りや身体障害者で郵便を投函したい人は、遠くまで行かなくてはなりません。国営の郵便局時代は、 ボックスはいたるところにあり、郵便局の受付は車椅子の人が来ても応対が簡単にできるように、身体障 害者対策として受付台は低く設置してあり、もちろん局内はバリアフリーでした。関連記事は郵政局の民営化その後:をご覧ください。

しかし、郵便局の民営化により、各地の郵便局は閉鎖され、切手や封筒の販売も食料品店やキオスクに委託されました。昔からの食料品店の入り口は階段が多く、車椅子のままでは道路から入ることは出来ません。投函したい郵便ボックスも高くて、子供や背の低い高齢者、車いすの人は投函すらことが困難です。 高齢者や障害者は郵便を利用するなということなのでしょうか。


国営であった国鉄も民営化が進み、地区ごとに民営企業が運営、全国路線のSJ鉄道は国営として一部活動していますが、政府は最低10%の利益を上げることを 要求し、そのために修理配車工場、路線管理職員などの人員整理をここ数年進めてきました。

 

その結果、昨年と同様に寒波に追われたスウェーデンでは、新しい電車は電気配線部分や車輪台に氷が張りつき故障ばかり、路線の起点も雪が積もり路線変更ができなかったりと、事故によ る運行中止が続き、旅行者や実家に帰りたい人たちの足止めとなり駅で電車が通過するようになるまで過ごす人もいます。12月中のみで、すでに南部地区のマルモ、ヨーテボルグからストックホルム間の長距離電車は、20回以上も運行停止しました。

 

地下鉄電車も以前の公営時代には、地下鉄路線専門の除雪車が車庫に待機し、今年のように大雪の時は、一日中活動して地下鉄電車は問題なく運転していましたが、この除雪車も一部の幹部が経費節約と一年に何回も使用しないから無駄な機材として他国に売ってしまいました。

 

その結果は言うまでもなく、大雪 だった昨年や今年は路線の除雪が出来ず、何回も運転停止となり、今年の初めにはトンネル外の路線が大雪のために、2日も運転停止状態のこともありました。 公営時代にはなかったことです。

この写真は、電車の下部にある電気系統部分に熱が発生し、その部分に付いた雪が溶けて氷結し張りついているところです。

 

昨年末には新規に地下鉄運営の入札があり、香港の会社が確保しました。しかし冬の運転に経験のない企業幹部は、この大雪の対策に遅れ大変に苦労し、さらにあまりに安く入札したために運営費に大きく響き、職員の整理、運転手の勤務時間延長などの対策をとりました。特に問題は修理工場の運営権利も確保したのはよいですが、職員整理を続けたために、電車の故障修理も十分にできないまま運転を実施、ついに今年の年末12月20日には運転手組合が労働安全環境局に 、安全に問題ありと訴えました。

 

高齢者福祉では、民営化による問題は公共交通に比較するとすくないが、それでも各地で職員整理後の介護職員の仕事量増加によるストレスなどが原因で、介護問題が各地で発生しています。

 

日本で言われているほどスウェーデンの社会福祉は、モデルにしたい福祉とは言えない部分が多くありますが、こうした問題については、日本ではほとんど知られてはいません。 私営の学校では経営のみでなく教育内容の問題や汚職、暴利でなど各種の問題があとを絶ちません。

 

政府が進める民営化は、本当に国民のために良いものなのかと疑問を感じます。民営化については、今後も記載の予定です。


   ( 2010年12月28日 記載 DN. SVT. MT 資料参照 )
 

このページ及びストックホルムのホームページの無断転載を禁止します。ただし、タクティールマッサージは自由に利用してください。掲載希望の方は管理者(fukushi-sweden@hotmail.co.jp)に連絡してください。)


               NEWS INDEXに戻る    前のページ      次のページ

無料カウンター